「鴨々川ノスタルジアの記憶 2016」
私が「鴨々川ノスタルジア」、通称「鴨ノス」のイベントに初めて参加したのは2016年のことになります。
札幌に移り住んで2年後のことでした。
ここではそのきっかけとなった出来事を紹介していきます。
鴨々川ノスタルジアとは
ここで「鴨々川ノスタルジア」をご存じない方に向けて、札幌観光協会公式サイト「ようこそさっぽろ」から紹介文を。
『中島公園からすすきのにかけて流れる鴨々川流域のお寺、ギャラリー、ホテルなどが手を組み、2014年にスタートしたイベント。
「寺町すすきのを遊ぶ」をキーワードに、3日間にわたって茶道や和紙梳きなどの体験型講座、アイヌ音楽などの演奏会、昔ながらの手仕事や芸能を紹介する「なりわい村」を開催する。』
ある日、鴨々堂へ
その日、私自身が主催する無声映画上映会のチラシを置いてもらおうと札幌駅や大通公園周辺を周っていました。
その流れの中で、”すすきの”の一角にある鴨々堂に立ち寄ってみたのです。
ここは以前から前を通りかかっては「いったいどういった建物なのだろう?」と気になっていた場所。
後にわかったことですが、元芸者の置屋だったものを改修した古民家ギャラリーでした。
*残念ながら鴨々堂は2019年に閉館、解体となってしまいました。
石川さんとの出会い
応対してくれた女性は鴨々堂オーナーで鴨々川ノスタルジア実行委員長でもあった石川圭子さん。
快くチラシを受け取ってくれた後、
「あっ、弁士!ちょうど探していたんだ!」
と、9月30日から3日間開催するイベント「鴨々川ノスタルジア」の話をしてくれました。
2016年の鴨々川ノスタルジアでは
彼女によると、
・3回目となる今回、新たな試みとして「口伝・薄野怪談」を企画している
・内容は、芥川龍之介「羅生門」を題材に、すすきのの「新善光寺」全面を舞台とした大きなイベントにする
とのことでした。
その中で本堂で怪談の朗読が行われる場面があり、その朗読者に私を抜擢してくれたのでした。
「口伝・薄野怪談 羅生門」とは
朗読作品は、札幌出身の作家、乾ルカさん、立原透耶さんによる書き下ろし。
薄野遊郭での実話を織り交ぜた創作怪談で、乾さんは現代版、立原さんは時代物と、どちらもすすきのの歴史を感じさせる面白い作品となっていました。
弁士として私もとても語りがいがあるものでした。
稽古風景
怪談を演じるのは10代の頃から舞踏家として活動をしている田仲ハルさんを中心に、市内の高校生たち。
(30名くらい?演劇部に所属している学生のみということではなかったようです)
稽古が重ねられている中、私も数回その様子を見ることができましたが、指導を受けながらひとつのものを作り上げていく彼らの真摯な姿に心を打たれました。
加えて、本堂で仏様を背中に朗読できる素晴らしさに、私は身震いしていました。
「本番での仕上がりはどのようなものになるの?」と、とても楽しみだったのを憶えています。
当日
新善光寺の本堂にはびっしりのお客さま。
静寂の中、本堂で2つの作品の朗読を終えたあと、舞台を屋外に移し演者によるパフォーマンスへ。
山門から本堂へ続く階段を舞台として、田仲ハルさんを中心に高校生たちがパフォーマンスを繰り広げました。
ハルさんのおどろおどろしい姿に、お客さまの中からは
「キャ〜ッ!」
と悲鳴も。
今思えば、高校生たちが役を演じることで何を感じたのかを聞いておけばよかったです。
2022年の鴨々川ノスタルジアは
3年ぶりの開催となります。
今年はコロナの影響もまだ残っていますので朗読のみの開催となりますが、静かな本堂で実話に基づく「怪談」を聴いてゾクゾク、ドキドキしてください。
今年は”口伝すすきの怪談2022「白首(ごけ)たちの挽歌」”です。
開催は10月29日です。詳細は下記リンクからどうぞ!
もうすぐ、このときと同じ体験ができるかと思うと、わたしも今からワクワクしています。